占有転禁止の仮処分
賃借人の賃料不払いなどで建物の明渡しを求めたい場合に、その建物に賃借人とは別の人が出入りしている、別の法人の表示がされている、などの場合には注意が必要です。
賃貸借契約解除の後、建物明渡請求訴訟で勝訴判決を得て、明渡しの強制執行官と現地に赴いても、賃借人とは別の占有者が認められた場合、賃借人に対する勝訴判決だけでは、同占有者に対して強制執行はできません。なお、賃借人の同居家族は、独自の占有はなく、「占有補助者」と解される場合が多いので、その場合には賃借人に対する勝訴判決によって、強制執行をすることができます。
賃貸建物の占有者や転借人が判明していて占有の移転の可能性がない場合には、同人らを被告に含めて勝訴判決を得れば足りますが、占有者らが誰かわからない場合や、頻繁に占有が入れ替わっている場合等、占有移転のおそれがある場合には、建物明渡請求訴訟の前に、「占有移転禁止の仮処分」の申立を検討しなければなりません。
賃貸建物の占有者や転借人が判明していて占有の移転の可能性がない場合には、同人らを被告に含めて勝訴判決を得れば足りますが、占有者らが誰かわからない場合や、頻繁に占有が入れ替わっている場合等、占有移転のおそれがある場合には、建物明渡請求訴訟の前に、『占有移転禁止の仮処分」の申立を検討しなければなりません。
申立後、通常は債権者面接時に担保決定がなされ、原則として七日以内に担保を提供しなけなりません。担保提供後、仮処分決定が出され、同決定をもって仮処分執行を申し立てます。同申立を受けた執行官は、現地に赴き、現在の占有者を認定し、同占有者らに対して、占有を他人に移転させることを禁止する公示書を室内に貼り付けます。仮処分執行は、債権者に保全命令の決定正本が送達されてから2週間以内に行う必要があるため、事前に執行官や解錠技術者と執行日時等について打ち合わせ をしておく必要があります。
占有者を勝手に変更したり、賃料を支払わない賃借人は一筋縄ではいかない相手であることが少なくありません。A法律事務所会報参照
訴訟方法も細かいですので、訴訟をされる場合は、弁護士の方と相談しながら進めましょう。
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