プロパンガス料金、何で高いの?
一般的に、都市ガスよりプロパンガス(LPガス)のほうが月々のガス料金が高くなる理由をご存じですか?
都市ガスは多くの利用者でコストを薄く広く負担できる一方で、プロパンガスは人口密度の低い地域に一軒一軒配達するため、配送費や人件費の原価が大きくなります。
両者を比較した調査によると、平均価格はプロパンガスの方が都市ガスより1.8~2倍にもなるとの結果が出ています。(経済産業省 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 ガスシステム改革小委員会資料より)
これは事実ですが、表向きの理由です?
プロパンガス・スキームって何?
実は、アパート、マンションなどの賃貸集合住宅のLPガス料金では、ガス会社が給湯器やコンロなどを無償で貸与・設置し、その費用をガス料金に上乗せして入居者から徴収するという暗黙の慣習が存在します。
これはかつて、LPガス事業者が賃貸集合住宅へのガス契約獲得のための営業として、賃貸集合住宅のオーナーにガス給湯機やガスコンロを無償提供したことが始まりと言われています。
その後、集合賃貸住宅のオーナーや建設業者からの要求により、エアコン、インターホン、Wifi機器、防犯カメラといった様々な製品までもLPガス事業者が費用負担するようになり、後日、ガス料金に上乗せして入居者から徴収されるという商慣行に変化しました。
これらの商慣行が「プロパンガス・スキーム」と言われている由縁です。
プロパンガス・スキームの問題点
自己所有の物件であれば、契約内容や上乗せされたガス料金なども理解した上でガス供給を受けられますが、賃貸物件の場合はどうでしょうか。借主様は賃貸契約の時にプロパンガスの料金の内訳や詳細まで説明を受けているでしょうか?
入居者さんが理解できないまま、高いガス代を払うことになるケースがほとんどではないでしょうか。
無償貸与が行われていても一般的なガス料金となっていれば良いと思いますが、無償貸与による過剰な設備設置により、平均的な価格を逸脱する高額なガス料金設定となっている物件も多々あります。
高額なガス料金設定であるにもかかわらず、借主様が料金の内訳を知らない・分からないというのはトラブルの元になります。また、高額である理由がわからなければ、入居者様は物件に住んでいる間ずっと不満を持ち続けるのではないでしょうか。
プロパンガス利用の建物場合は、プロパンガスの内訳を確認しましょう。
プロパンガス料金・新ルール
2023年7月、これらの問題を是正すべく、経済産業省資源エネルギー庁はこうした上乗せを禁止する方針(集合賃貸住宅におけるLPガス料金の透明化)を示しました。
また、正常な商慣習を超えた利益の供与や、ガス業者の切り替えを阻害するような高額な違約金規定も禁止する方針です。2024年春までに関係省令を改正し、27年度には新制度の施行を目指す予定です。
さらに、違反が認められた場合、LPガス事業者への立ち入り検査や基準適合命令を出すことを規定しています。命令に違反した場合は、登録取り消しや30万円以下の罰金となるため、不透明な料金請求の是正への効果が期待されます。
賃貸集合住宅向けプロパンガス(LPガス)料金の新制度
- ボンベやメーターなどの設備費や点検・検針に係る固定費⇒基本料金に
- 原材料や配送費など使用量に応じてかかる費用⇒従量料金に
- 給湯器・エアコンなどガス供給に関係のない設備費⇒料金上乗せ禁止!!
今回の方針では賃貸集合住宅で設置した給湯器やエアコンなどの設備費用は家賃に含めるべきとしています。
新制度がきちんと機能すれば、月々のガス代が数千円安くなる可能性があります。料金の明瞭化、商慣習の透明化に期待し、借主様は安心して生活を、オーナー様はより良い賃貸経営を送れるようになるかも。
プロパンガス利用建物を募集をする不動産業者も確認すべきことが増えました。
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